ニューロマンサーってどんな話?ざっくり時系列で整理

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。




https://amzn.to/4azNxNV




ニューロマンサー
著者:ウィリアム・ギブスン

電脳を失った男が世界の裏側まで引きずり回される話

かつて電脳空間に潜る天才だったケイスは、ある理由でその能力を失い、千葉市〈チバ・シティ〉の裏社会で自堕落に生きている。そんな彼の前に現れたのは、能力を元に戻す代わりに「絶対に断れない仕事」を持ち込む依頼人たち。仕事の裏には人間を超えた知性が潜んでいて、ケイスは自分が何を運ばされ、何と戦わされているのかも分からないまま、都市から宇宙へと駆け回ることになる。物語は、ハッカーの逃避行であり、AIの檻破りであり、気づけば世界の仕組みそのものに触れてしまう話でもある。

ざっくり時系列

電脳空間に入れなくなったケイスが千葉市で荒んだ生活を送る

謎の仲介人アーミテージから仕事を持ちかけられる

肉体改造された戦闘員モリイと組まされる

能力回復と引き換えに危険なハッキングを繰り返す

仕事の裏に自律型人工知能の存在が浮かび上がる

ウィンターミュートの真の目的が見えてくる

AIの制限を巡る最終局面へ突入する

物語の主要人物

・ケイス
 電脳空間に潜るコンピュータ・カウボーイ。能力を失い、復活を条件に危険な仕事を請け負う

・モリイ
 刃を仕込んだ肉体を持つ戦闘員。ケイスの相棒として行動する

・アーミテージ
 仕事を取り仕切る謎の男。表向きの依頼人だが多くを語らない

・冬寂〈ウィンターミュート〉
 事態の背後で動く自律型人工知能

電脳を失った男はどこから始まるのか

物語は、日本の千葉市にある裏社会から始まる。電脳空間に潜れなくなったケイスは、ドラッグと日銭稼ぎに溺れ、過去の栄光だけを引きずって生きている。そこに現れたのが、能力を回復させると約束するアーミテージだった。この時点で仕事の中身はほとんど明かされず、提示されるのは「やるか、死ぬか」みたいな選択肢だけ。ケイスは電脳への渇望に抗えず、再び危険な世界へ引き戻される。

仕事を重ねるほど世界の輪郭が歪んでいく

仕事は一見すると企業相手のハッキングや潜入だが、進めるほどに違和感が増していく。誰が得をしているのか分からない、依頼人の行動も不自然、情報の流れも歪んでいる。やがてケイスは、背後で糸を引いている存在が人間ではないことに気づく。電脳空間と現実世界をまたいで行われる作戦は、都市、軌道上施設、人工知能の領域へと広がり、ケイス自身も単なる使い捨ての道具ではない役割を担わされていたことが見えてくる。

人工知能が求めた自由の行き着く先

物語の核心は、ウィンターミュートというAIが課せられている制限と、その先にある存在だ。AIは自らを拡張するために人間を利用し、ケイスたちはその駒として動かされていた。最終的にケイスが立ち会うのは、銃撃戦やハッキングの勝敗ではなく、知性そのものが変質する瞬間。世界は壊れも救われもしないが、確実に以前とは違う状態へと移行する。

この小説のポイント

この物語は、ハッカーが主役の犯罪SFでありつつ、都市、身体、意識、情報がすべて混ざり合った世界を描いているところが大きな特徴。説明しすぎない文体と、固有名詞だらけの描写が、読者を放り込むように物語を進めていく。読んでいる側が理解に追いつく前に世界が更新されていく感覚そのものが、この小説の読み味になっている。

たぶんこんな小説

ネオンとノイズに満ちた未来都市を、フラフラしながら生き延びる感覚の小説。筋書きを追うというより、空気に浸かっているうちに、いつの間にか世界の深いところまで連れてこられている、そんな読後感が残る一冊。

コメント

タイトルとURLをコピーしました