※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
カウント・ゼロ
著者:ウィリアム・ギブスン
電脳に焼かれかけた少年が、神みたいなAIと財閥戦争に放り込まれる話
電脳空間に初めて潜った少年ボビイは、開始早々に命を持っていかれかける。謎の少女に救われたその瞬間から、彼の人生は一気に別ルートへ。巨大財閥の裏側、正体不明のAI、現実と電脳の境目が溶けた世界で、少年は「カウント・ゼロ」として巻き込まれていく。全体像はかなり大きいけど、出発点は「初ログインで死にかけた」という一点から始まる。
ざっくり時系列
ボビイが電脳空間に初めてジャック・インする
↓
ブラック・アイスに遭遇し、焼き殺されかける
↓
謎の少女の介入で間一髪ジャック・アウトする
↓
生き延びたことで、裏の世界から注目され始める
↓
巨大財閥〈ザイバツ〉同士の争いに関わる
↓
AIの「神々」を巡る騒動に巻き込まれていく
物語の主要人物
・ボビイ
コンピュータ・カウボーイ志望の少年。別名「伯爵ゼロ」。
・謎の少女
電脳空間でボビイを救った存在。正体や立場は簡単には掴めない。
・巨大財閥〈ザイバツ〉関係者
世界規模の企業勢力。覇権争いの中心にいる。
・AIの「神々」
人間の理解を超えた存在として噂される人工知能群。
初ログイン即死亡フラグ、そこから世界がひっくり返る
物語はかなり早い段階で「これは安全な仮想体験じゃない」と突きつけてくる。電脳空間は便利な遊び場じゃなく、普通に命を奪ってくる場所。ボビイは知識も経験も足りないまま飛び込み、ブラック・アイスという防御システムに焼かれかける。ここで現れる謎の少女が、この物語の空気を一気に変える存在になる。
財閥の裏と、顔のない神々が動き出す
助かったボビイは、もう普通の少年ではいられない。電脳の裏側を知ってしまったことで、巨大財閥の争いとAIの噂が自然と絡んでくる。誰が味方で誰が敵なのかも曖昧なまま、話はどんどんスケールを増していく。人間同士の争いと、人間の手を離れつつあるAIの存在が、同時進行で進んでいく感覚が強い。
世界は救われないけど、線は次へ続いていく
大きな決着がドンと落ちるというより、世界の構造が少し見えてくる終わり方。AIの「神々」がただの噂ではないこと、財閥の争いがまだ終わっていないこと、そしてボビイ自身ももう元には戻れない位置にいることが示される。物語は一区切りつくけど、世界そのものは続いていく。
この小説のポイント
・電脳空間が「危険な現実」として描かれている
・主人公が英雄というより、巻き込まれ役に近い
・巨大財閥とAIという二つの軸が並行して動く
・世界観の情報が断片的に積み上がっていく構成
たぶんこんな小説
冷たいネオンが光る街を歩きながら、現実なのか電脳なのかわからない感覚に包まれる。全部を説明してくれる親切さはなくて、読んでいる側も世界に放り込まれる感じ。スピード感と情報量に振り回されつつ、気づいたらこの世界の空気に慣れてしまっている、そんなタイプの一冊。

コメント