※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
変身
(Die Verwandlung)
著者:フランツ・カフカ
ある朝、家族を支える男が巨大な虫になってしまう話
布地の販売員として一家を支えていたグレゴールは、ある朝目覚めると巨大な虫になっている。働けなくなった彼は部屋に閉じ込められ、最初は世話をしてくれていた家族からも、次第に疎まれる存在へと変わっていく。家族を思い続ける彼の気持ちとは裏腹に、家庭は静かに、しかし確実に彼を切り離していく。
ざっくり時系列
朝目覚める
↓
自分が巨大な虫になっていることに気づく
↓
仕事に行けず支配人と家族が騒ぐ
↓
父に傷つけられ部屋に閉じ込められる
↓
妹が世話をする生活が始まる
↓
家具が運び出され人間の痕跡が消えていく
↓
父に投げられたリンゴが背中に刺さる
↓
家族が働きに出てグレゴールは放置される
↓
下宿人騒動で家族が決別を決める
↓
静かに息を引き取る
物語の主要人物
・グレゴール・ザムザ
一家を支えてきた布地の販売員で、物語の主人公
・グレーテ・ザムザ
グレゴールの妹で、最初は世話をする役割を担う
・ザムザ氏
グレゴールの父親で、次第に厳しい態度を取る存在
・ザムザ夫人
グレゴールの母親で、息子への恐怖と愛情の間で揺れる
目覚めたら虫、なのに仕事の心配をしている朝
物語は、グレゴールが自室のベッドで目覚め、自分が巨大な虫になっていることに気づくところから始まる。異常な状況にもかかわらず、彼の頭を占めているのは仕事への不満と遅刻の心配だった。家族の借金を返すために働き続けなければならないという意識が、すでに彼を縛っている。
部屋に閉じ込められ、家族との距離が広がっていく
仕事に行けなくなったグレゴールは部屋に閉じ込められ、妹グレーテが世話をする生活が始まる。食べ物の好みは変わり、壁や天井を這い回るようになる一方で、部屋から家具が運び出され、人間だった頃の名残は消えていく。父に投げつけられたリンゴが背中に刺さり、彼は満足に動けなくなる。
家族の決断と、誰にも看取られない最期
一家は働きに出て生活を立て直し、グレゴールの存在は邪魔なものになっていく。下宿人との騒動をきっかけに、妹は彼を見捨てるべきだと口にする。家族の姿を思い浮かべながら、グレゴールは静かに息を引き取る。翌日、家族は未来への希望を語り合い、物語は幕を閉じる。
この小説のポイント
突然の異変そのものよりも、その後に起こる人間関係の変化が中心に描かれている。理由も説明もない不条理な出来事が、個人と家族の関係をどう変えていくのかが淡々と積み重ねられていく。
たぶんこんな小説
現実感のある家庭の空気の中に、ありえない出来事がそのまま置かれている感じ。読んでいるうちに、異常な状況がいつの間にか日常として受け入れられていく、不思議な読後感が残る作品。

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