※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
日はまた昇る
(The Sun Also Rises)
作品データ
著者:アーネスト・ヘミングウェイ
ジャンル:文学小説/モダニズム/群像劇
戦争で何かを失った若者たちが、酒と旅と恋にしがみつきながら夏を彷徨う話
第一次世界大戦の傷を抱えた人々が、パリからスペインへ向かい、飲み、恋をし、衝突する。主人公ジェイクとブレットは互いに想い合いながらも結ばれず、その周囲でも欲望と嫉妬が絡み合って関係は壊れていく。熱狂的な祭りの中で何も解決しないまま、それでも時間だけは前に進んでいく。
ざっくり時系列
パリでの放蕩的な日々
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ジェイクとブレットの関係が曖昧なまま続く
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仲間たちとスペイン旅行へ向かう
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釣りをしながら一時的な安らぎを得る
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パンプローナの祭で酒と闘牛に明け暮れる
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ブレットを巡って男たちの関係が崩れる
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コーンが暴力沙汰を起こす
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祭が終わり、それぞれ別々の場所へ向かう
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マドリードでジェイクとブレットが再会する
物語の主要人物
・ジェイク・バーンズ
アメリカ人新聞記者。戦争で重い傷を負っている
・ブレット・アシュリー夫人
奔放で魅力的なイギリス人女性
・ロバート・コーン
ジェイクの旧友。ブレットに執着する
・マイク・キャンベル
ブレットの婚約者
・ビル・ゴートン
ジェイクの友人。皮肉屋
・ペドロ・ロメロ
若き闘牛士
パリで始まる、満たされない関係
物語の前半はパリ。ジェイクとブレットは互いに愛情を確かめ合いながら、どうにもならない現実を理解している。周囲の友人たちも酒と会話で夜を埋め、空虚さをごまかしている。ここではまだ、大きな爆発は起きない。
祭りの熱と、壊れていく人間関係
舞台はスペインのパンプローナへ移る。フィエスタの熱気の中で、抑えていた感情が一気に噴き出す。ブレットを巡る嫉妬と欲望が衝突し、コーンは暴力に走る。ロメロは傷を負いながらも闘牛を続け、理想化された勇気と現実の醜さが並び立つ。
何も解決しないまま、旅は終わる
祭が終わり、仲間たちは散り散りになる。ジェイクはブレットの呼び出しでマドリードへ向かい、二人は再会するが、結論は変わらない。可能性を語り合いながら、実現しない未来をそのままにして物語は終わる。
この小説のポイント
・戦後世代の空虚さと回復力
・語られない感情が支配する会話
・愛と友情が同時に壊れていく過程
・祭りという一時的な救済
たぶんこんな小説
静かで淡々としているのに、感情はずっと張りつめている。何かが変わりそうで、結局変わらない。そのもどかしさこそが、この物語の核。読み終わると、終わったはずの夏の熱だけが、じんわり残る。

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