※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
誰がために鐘は鳴る
(For Whom the Bell Tolls)
作品データ
著者:アーネスト・ヘミングウェイ
ジャンル:戦争小説/成長小説
橋を爆破する数日のあいだに、人生全部を生き切る話
スペイン内戦の最前線で、橋を一つ爆破する任務を与えられたアメリカ人青年ロバート・ジョーダン。
作戦までのわずかな時間の中で、仲間と出会い、恋をし、信念に迷い、それでも「やるべきこと」を選び続ける。
戦争の物語でありながら、描かれているのは人が何のために生き、何のために死ぬのか、という一点に絞られていく数日間。
ざっくり時系列
スペイン内戦に参加する
↓
橋の爆破任務を命じられる
↓
山中のゲリラ部隊に合流
↓
マリアと出会い恋に落ちる
↓
ゲリラ内部の不信と対立が表面化
↓
別部隊が包囲され壊滅
↓
爆破計画が崩れかける
↓
即席の方法で作戦を決行
↓
橋の爆破に成功
↓
逃走中にロバートが重傷を負う
↓
仲間を逃がすため一人残る
物語の主要人物
・ロバート・ジョーダン
アメリカ人志願兵。爆破の専門家
・マリア
内戦で家族と尊厳を失った若い女性
・パブロ
反ファシストゲリラのリーダー
・ピラール
パブロの妻。実質的な精神的支柱
・アンセルモ
ロバートを導く年老いたゲリラ
・アグスティン
辛辣な言葉を吐くゲリラ戦士
山中のゲリラ部隊に身を置く
ロバート・ジョーダンは、セゴビア攻勢を成功させるため、敵陣背後の橋を破壊する任務を受ける。
彼はグアダラマ山脈に潜む反ファシストのゲリラ部隊と合流し、数日後に決行される作戦に備える。
だが部隊を率いるパブロは慎重すぎるほど慎重で、命を賭ける作戦に消極的だった。
恋と使命がぶつかり合う
キャンプでロバートは、過去に深い傷を負ったマリアと出会う。
短い時間の中で二人は強く惹かれ合い、ロバートは「生き延びたい」という個人的な願いを初めて強く意識する。
その一方で、任務は迫り、逃げることも選ばないこともできない現実が重くのしかかる。
作戦は崩れ、それでも進む
別のゲリラ部隊が壊滅し、敵が待ち伏せを準備していることが明らかになる。
さらに内部の混乱により、爆破に必要な装置が失われ、計画は破綻寸前となる。
それでもロバートは、命令が撤回されない以上、橋を破壊しなければならないと判断する。
最後に選ぶ立場
即席の方法で橋は爆破されるが、逃走中にロバートは致命的な重傷を負う。
彼は仲間とマリアを逃がすため、自分が残ることを選ぶ。
動けない身体で、ただ待ち伏せの瞬間を待ちながら、物語は静かに終わっていく。
この小説のポイント
・戦争を英雄譚にしない描写
・数日間に凝縮された人生の重み
・個人の愛と集団の使命の衝突
・信念を持って選ぶということの厳しさ
・行動によって語られる価値観
たぶんこんな小説
戦争の音が鳴り響いているのに、読後に残るのは静けさ。
大きな理想も正義も語られるけど、最後に残るのは「人ひとり」の決断だけ。
読み終えると、タイトルの鐘が、遠くでまだ鳴っている気がする一冊。

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