※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
動物農場
(Animal Farm)
作品データ
著者:ジョージ・オーウェル
ジャンル:中編小説/風刺寓話/ディストピア
みんな平等のはずだったのに、気づいたら豚がいちばん偉くなる話
虐げられていた農場の動物たちが、人間の主人を追い出して「動物だけの理想郷」を作ろうとする。でも革命の中心にいた豚たちが権力を握るにつれ、ルールはこっそり書き換えられ、言葉は都合よくねじ曲げられ、農場は前より自由になったのか分からない場所に変わっていく。
ざっくり時系列
オールド・メジャーが人間打倒を訴える
↓
ジョーンズ氏を追い出し、農場を「動物農場」に改名
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「七戒」が掲げられ、理想の共同体が始まる
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豚がリーダー格になり、特別扱いが増える
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風車計画を巡ってスノーボールとナポレオンが対立
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犬がスノーボールを追放し、ナポレオンが独裁へ
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宣伝係スクィーラーが言葉で動物たちを丸め込む
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粛清が起き、恐怖で支配される
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ボクサーが倒れ、都合よく処理される
↓
豚が二足歩行し、人間と区別がつかなくなる
物語の主要人物
・オールド・メジャー
革命の火種を作る年老いた豚
・ナポレオン
権力を握り、独裁を進める豚
・スノーボール
理想や改革を語るが、追放される豚
・スクィーラー
言葉で状況を正当化する宣伝役の豚
・ボクサー
ひたすら働く力持ちの馬
・ベンジャミン
冷めた目で見ている老ロバ
・ジョーンズ氏
動物たちを放置していた農場主
反乱の始まりと「七戒」の誓い
マナー農場では、だらしない農夫ジョーンズ氏のもとで動物たちが苦しんでいた。ある夜、オールド・メジャーが集会を開き、人間を打倒して動物の社会を作ろうと訴える。やがて動物たちは反乱を起こし、人間を追い出す。農場は「動物農場」と改名され、納屋には「七戒」が書かれ、いちばん大事な合言葉は「すべての動物は平等である」になる。
理想が、静かにズレていく
最初は食料も増え、働く意味も見えて、うまく回っているように見える。けれど豚たちは「運営のため」と言いながら少しずつ特別扱いされ、やがて風車計画を巡って対立が爆発する。ナポレオンは犬を使ってスノーボールを追い出し、会議をやめさせ、豚だけで物事を決める体制に変えてしまう。
言葉が支配し、恐怖が当たり前になる
スクィーラーは、昨日と言っていることが違っても、数字や言い回しで全部正しいことにしてしまう。反対する動物は「裏切り者」にされ、粛清が繰り返される。働くほど生活が楽になるはずだったのに、労働は増え、歌は禁じられ、代わりにリーダー賛美の歌が流れる。七戒も、いつの間にかこっそり書き換えられていく。
いちばん悲しい結末と、最後の一行
忠実で働き者のボクサーは、頑張りすぎて倒れる。仲間は助けようとするが、結局、都合よく処理され、豚たちはその見返りで贅沢をする。年月が経つと、豚は二足で歩き、酒を飲み、鞭を持ち、人間と取引し、宴会まで開く。最後に残る掟は、こうまとめられてしまう。
「すべての動物は平等であるが、ある動物は他の動物よりも平等である」
外から見ていた動物たちは、豚と人間の区別がつかなくなっていることに気づく。
この小説のポイント
・理想が壊れるのは一瞬じゃなく、少しずつ進む
・暴力だけじゃなく、宣伝と言葉が支配の武器になる
・働く側が報われない仕組みが、正義っぽい顔で固定される
・「革命」の物語なのに、読後に残るのは皮肉な静けさ
たぶんこんな小説
短いのに、刺さり方がえぐい。かわいい動物の話みたいな顔をして、権力がどうやって人を黙らせ、ルールを塗り替え、歴史まで作り直すかを、ものすごく分かりやすく見せてくる。読み終わると、ニュースとか組織の会議とか、身の回りの「言い換え」や「空気」の見え方がちょっと変わるタイプの一冊。

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