葉蘭をそよがせよってどんな話?ざっくり時系列で整理

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。




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葉蘭をそよがせよ
(Keep the Aspidistra Flying)

作品データ
著者:ジョージ・オーウェル
ジャンル:社会批評小説

金の神に反抗した詩人が、結局ぜんぶお金の話に負けていく話

1930年代のロンドン。広告会社ニューアルビオンで才能を発揮していたゴードン・コムストックは、金の神への反発から会社を辞め、書店の低賃金で暮らしながら詩を書こうとする。けど貧乏はロマンじゃなくて現実で、恋人ローズマリーとの関係も、友人ラヴェルストンとの距離も、ぜんぶ「金」でギシギシしていく。最後に彼が選ぶのは、反抗の継続じゃなくて、生活そのものだった。

ざっくり時系列

ゴードンが広告会社ニューアルビオンを辞める

書店で働き、詩作で生きようとする

貧困と自尊心で生活がどんどん荒れる

恋人ローズマリーとの時間が噛み合わず摩擦が増える

友人ラヴェルストンが出版を助けようとして関係がねじれる

ゴードンが酒と失態で破綻し、書店の職を失う

さらに安い賃金の店に移り、底へ落ちることに満足し始める

ローズマリーが妊娠を告げ、選択を迫られる

ゴードンが結婚と社会復帰を選び、広告の仕事へ戻る

新居にアスピディストラが置かれる

物語の主要人物

・ゴードン・コムストック
 詩を書きたい青年。金の神への反発で貧困生活に突っ込む

・ローズマリー・ウォーターロー
 ゴードンの恋人。働きながら彼と関係を続けようとする

・フィリップ・ラヴェルストン
 裕福な左翼出版社の人物。ゴードンを支持しつつ現実も見ている

ぜいたく拒否の宣戦布告、でも腹は減る

ゴードンは、広告会社で出世できるのに辞める。理由はシンプルで、金に魂を売る感じがイヤだったから。書店で働いて、安い部屋で、詩を書いて生きる。ところが現実の貧乏は、気高い禁欲っていうより、ただの不便と焦りの連打。ビール一杯すら迷うし、誰かに借りるのもプライドが許さない。反抗のはずが、金の神の存在感を毎日強めてしまう。

恋人と友人が、金の問題を突きつけてくる

ローズマリーとは好き同士なのに、一緒に過ごす時間も場所も足りない。日曜の小旅行だって、店選びと支払いで気分が崩れていく。友人ラヴェルストンはゴードンの思想に理解を示すけど、本人は裕福で、その差が会話の地雷になる。それでもラヴェルストンは出版の道を探り、ゴードンの詩集に動きが出る。ここからゴードンは、うれしさと屈辱と疑いがごちゃ混ぜになって暴走しやすくなる。

落ちるところまで落ちて、最後に選ぶ現実

酒、失態、留置所、失職。ゴードンはもっと条件の悪い店で働き、みすぼらしい部屋に移り、底辺を選んだ自分に妙な安心すら感じる。でもそこにローズマリーの妊娠が来る。中絶は違法で危険、二人はそれを避けたい。となると選択肢は、彼女を不幸に巻き込むか、結婚して「ちゃんとした暮らし」に戻るか。ゴードンは結局、結婚と広告の仕事へ戻る。詩は捨て、足の臭いを防ぐ新製品のキャンペーンに没頭していく。窓辺のアスピディストラが、皮肉みたいにそこに立っている。

この小説のポイント

金の神に反抗するほど、金の神の支配がくっきり見えてくる
貧困が人を高潔にするんじゃなく、神経質にしていく描写が強い
恋愛や友情が、思想じゃなく生活費で削れていく生々しさ
アスピディストラが「中流の息苦しさ」の象徴として効いている

たぶんこんな小説

派手な事件で引っぱるというより、日常の小さな支払いとか、みっともなさとか、言い訳とかが積み重なって胃にくるタイプ。笑えるところもあるのに、笑った直後に苦くなる感じが残る。読後は、アスピディストラって植物がちょっと意味深に見えてくるかも。

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