※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
賭博者
(Игрок)
作品データ
著者:フョードル・ドストエフスキー
ジャンル:長編小説/心理・恋愛小説
恋と金とルーレットに全部つぎ込んで、気づいたら何も残ってなかった話
ドイツのカジノ付きホテルを舞台に、若い家庭教師アレクセイは、将軍一家に仕えながら、継娘ポリーナへの執着と賭博への衝動に引きずられていく。最初は軽い気持ちだったルーレットが、勝利の快感と恋の焦りに結びつき、やがて人生そのものを飲み込んでいく。愛も金も手にした瞬間があるのに、それを自分の手で壊してしまうまでが、一気に描かれる。
ざっくり時系列
ドイツのホテルで家庭教師として働き始める
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将軍が遺産を当てにして借金返済を目論む
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アレクセイがポリーナに強く惹かれる
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ポリーナに促されてカジノで賭けをする
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ルーレットで勝ち、大金を手にする
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祖母が現れ、ギャンブルにのめり込む
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祖母が大金を失い、将軍の計画が崩れる
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ポリーナの秘密と絶望が明らかになる
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アレクセイが再び賭博で巨額を勝ち取る
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ポリーナは去り、アレクセイは賭博だけが残る
物語の主要人物
・アレクセイ・イワノヴィチ
語り手。家庭教師として雇われた青年。賭博と恋にのめり込む。
・将軍
借金を抱えた一家の家長。遺産に望みをかけている。
・ポリーナ・アレクサンドロヴナ
将軍の継娘。アレクセイの感情を揺さぶる存在。
・マドモアゼル・ブランシュ
将軍に近づく女性。金と地位を求めて行動する。
・アントニダ・ヴァシレヴナ
裕福な祖母。後に賭博に取り憑かれる。
・アストリー氏
内気なイギリス人。アレクセイの理解者的存在。
遺産待ちと恋心が渦巻く始まり
舞台はドイツの保養地にあるホテル。将軍は裕福な叔母の死を待ち、借金返済と結婚を同時に成立させようとしている。その中で、アレクセイはポリーナへの感情を募らせ、彼女の言動ひとつで心を振り回されていく。
勝ってしまったことで狂い始める
最初のルーレットで勝ってしまったことが、すべての歯車を狂わせる。勝利は自信と錯覚を生み、アレクセイは「自分は特別だ」と信じ始める。祖母まで賭博にのめり込み、一家の期待と計画は音を立てて崩れていく。
大金と愛を同時に失う結末
再び大金を手にしたアレクセイは、愛も取り戻せると信じる。しかしポリーナは去り、残るのは金と賭博への衝動だけになる。最後に彼が夢見るのは再会ではなく、再び賭けに出る未来だった。
この小説のポイント
賭博は単なる遊びじゃなく、感情そのものの比喩として描かれている。勝つことで自分を証明したい欲望、負けてもやめられない執着、その全部が恋と絡み合って暴走する。かなり生々しく、作者自身の体験が透けて見える。
たぶんこんな小説
スピード感があって読みやすいのに、読後は胃の奥が重くなる。勝った瞬間より、負ける直前の高揚が一番怖い。恋と依存が同じ顔をしてることに気づかされる一冊。

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