※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ウォークン・フュアリーズ
著者:リチャード・モーガン
血まみれの帰郷者が、革命の亡霊と独裁体制をまとめて引きずり出す話
不死が当たり前になった未来。夢を失い、怒りだけを抱えたタケシ・コヴァッチは、復讐のために故郷ハーランズ・ワールドへ戻ってくる。そこは革命後の理想なんて跡形もなく、支配者と企業とヤクザが資源を食い尽くす荒れた星だった。反政府組織と行動を共にしたことで、タケシは伝説の革命家復活の噂と、政治とテクノロジーが絡み合う最悪の渦に巻き込まれていく。
ざっくり時系列
タケシが復讐のため故郷ハーランズ・ワールドに帰還する
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星は独裁体制と企業、ヤクザに支配されている
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海辺の酒場でデコムのリーダー、シルヴィを助ける
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タケシはデコムと行動を共にする
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革命指導者クウェルクリスト・フォークナー復活の噂が広まる
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支配側が叛乱を抑えるため策を巡らす
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タケシは政治謀略とテクノロジーの謎の中心へ引きずり込まれる
物語の主要人物
・タケシ・コヴァッチ
不死技術が普及した世界の戦士。復讐のため故郷へ戻る。
・シルヴィ
反政府組織デコムのリーダー。酒場でタケシと出会う。
・クウェルクリスト・フォークナー
伝説的な革命指導者。復活の噂が世界を揺らす存在。
・ファースト・ファミリー
ハーランズ・ワールドを支配する第一次植民一族。
革命後の世界は、思ったよりずっと腐っている
かつて革命が起きた星は、理想郷どころか、むしろ希望が枯れた場所になっている。不死の技術があるせいで、人は死を恐れず、でも生きる意味も薄れている。支配する側は体制維持だけに必死で、星の資源も人の命も使い潰されていく。
反乱と復活の噂が火種になる
デコムという反政府組織は、完全な正義でも英雄集団でもない。ただ「このままじゃ終われない」人たちの集まり。そこに持ち上がるフォークナー復活の噂が、支配側にも反乱側にも強烈な緊張を生む。タケシはその中心で、銃と暴力で話を進める役を担わされていく。
不死の世界で、何を失ってきたのか
タケシが直面するのは敵だけじゃない。不死だからこそ、失ったものを取り戻せない現実が突きつけられる。復讐、革命、自由、そのどれもが中途半端な形で残骸になっていて、最後に問われるのは「それでも何を選ぶのか」という一点に収束していく。
この小説のポイント
・不死技術がもたらす社会の歪み
・革命後の理想が崩れた世界描写
・政治とテクノロジーが絡む陰謀
・暴力的だけど内省的な主人公像
たぶんこんな小説
とにかく荒々しくて、血と怒りにまみれてる。でも読んでいくと、派手さの奥に虚しさがずっと流れてるのがわかる。不死になっても満たされない世界で、何を信じて前に進くのかを突きつけてくる、重たくて熱い終章。

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