※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
スノウ・クラッシュ
著者:ニール・スティーヴンスン
ハッカー兼ピザ配達人が世界と言語のバグを殴りに行く話
国家が機能停止し、現実はフランチャイズ化、ネットの向こうにはメタヴァースが当たり前に広がっている近未来。
凄腕ハッカーでありながらピザ配達人でもあるヒロは、メタヴァースで手渡された謎のドラッグ「スノウ・クラッシュ」をきっかけに、現実と仮想の両方を揺るがす事件に巻き込まれていく。
相棒はスケボーで街を駆ける特急便屋の少女Y・T。
調査はやがて、言語、意識、文明の起源にまで突っ込んでいくことになる。
ざっくり時系列
近未来アメリカでフランチャイズ国家が成立
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オンラインにメタヴァースが定着
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ヒロがメタヴァースで謎の男と接触
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「スノウ・クラッシュ」を渡される
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使用者のアヴァターが異常を起こす
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現実世界でも意識不明者が発生
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Y・Tとともに調査を開始
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ライブラリアンAIの知識にたどり着く
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古代シュメール文明と言語の秘密が浮かび上がる
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人類の根幹に関わる仕組みが明らかになる
物語の主要人物
・ヒロ・プロタゴニスト
ハッカーであり、マフィア経営のピザ屋に雇われた配達人
・Y・T
スケボーで街を走る特急便屋の少女
・ライブラリアン
膨大な知識を持つ情報提供役のAI
・謎の男たち
スノウ・クラッシュと深く関わる存在
フランチャイズ国家とメタヴァースの世界
舞台は、連邦政府が無力化されたアメリカ。
治安、宗教、企業までもがフランチャイズとして運営され、現実世界は細切れの支配構造になっている。
一方でネット上には、誰もがアヴァターとして参加できるメタヴァースが広がっている。
ヒロはこの二つの世界を行き来する生活を送っていたが、ある出会いが日常を一気に壊していく。
謎のドラッグが現実と仮想を壊し始める
スノウ・クラッシュを使ったアヴァターは制御不能になり、現実の肉体までもが倒れていく。
これは単なるドラッグでも、単なるウイルスでもない。
ヒロとY・Tは事件を追ううちに、情報、宗教、支配の構造が複雑に絡み合っていることに気づく。
調査のスケールはどんどん拡大し、都市からネット、そして人類史へと飛躍していく。
言語と意識の起源にたどり着く
物語の核心は、古代シュメール文明と言語の成り立ちにある。
言葉はただのコミュニケーション手段ではなく、人間の意識そのものを形づくる仕組みだった。
スノウ・クラッシュは、その根幹を揺さぶる存在として機能していた。
ヒロは、現代テクノロジーと太古の知識が交差する地点で、世界が抱えた穴と向き合うことになる。
この小説のポイント
・メタヴァースという概念の原型
・フランチャイズ化された社会の風刺
・ハッキングと神話の融合
・言語と意識をめぐる大胆な発想
・アクションと知的遊びの同時進行
たぶんこんな小説
勢いのあるアクションで引っ張りつつ、気づくとものすごく深いところまで連れていかれる感じ。
難しそうな話をしているのに、スピード感とノリで読み切れてしまう。
ネット、言葉、文明が全部一本の線でつながって見えてくる、不思議な読書体験が残る一冊。

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