※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
ゼルプの殺人
著者:ベルンハルト・シュリンク
老探偵が、過去と現在と自分自身をまとめて掘り返す話
私立探偵ゼルプは、銀行頭取から奇妙な身元調査を依頼される。
だが調べれば調べるほど、依頼そのものより依頼人の態度の方が怪しい。
やがて事件は、銀行の過去、東独の影、そしてゼルプ自身の人生にまで食い込んでいく。
ざっくり時系列
銀行頭取ヴェルカーから身元調査を依頼される
↓
調査報告に無関心な依頼人の態度に違和感を覚える
↓
ゼルプがヴェルカー本人を調べ始める
↓
銀行の歴史と退職教師の不審死が浮上する
↓
ロシアン・マフィアの影がちらつく
↓
ゼルプの息子を名乗る青年が現れる
物語の主要人物
・ゼルプ
老練な私立探偵で、過去を抱えながら事件を追う主人公
・ヴェルカー
銀行頭取で、調査を依頼した張本人
・ザマリン
ヴェルカーに常につき従う謎の男
・ウルブリヒ
ゼルプの息子を名乗る東独出身の青年
・ネーゲルスバッハ
ゼルプの親友で、元警察官
依頼より、依頼人の方が怪しい
銀行頭取からの依頼は、内容自体は地味な身元調査だった。
ところが、途中経過を聞いても依頼人は上の空。
その不自然さが、ゼルプを次の一手へと向かわせる。
銀行の歴史に埋まった不都合な真実
調査は銀行の過去へと広がり、そこで不審な死が絡んでくる。
表向きは堅実な金融機関、その裏に積み重なった歴史。
事件は個人の犯罪というより、組織そのものの問題に近づいていく。
過去と家族が同時に襲ってくる
さらにゼルプの前に、息子を名乗る青年が現れる。
事件の謎と、私生活の問題が一気に重なり、ゼルプは逃げ場を失う。
老探偵は、仕事としてだけでなく、一人の人間として選択を迫られる。
この小説のポイント
・ドイツ現代史が自然に絡むミステリ構成
・派手さより積み重ねで緊張感を出す展開
・老探偵という立場ならではの視点
・事件と人生が切り離せない作り
たぶんこんな小説
アクションより会話と調査が中心で、空気はかなり渋め。
読んでいると、謎解きと同時に人生の後半戦を眺めている感じになる。
静かだけど、読み終わるとずっしり来るタイプのミステリ。

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