※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
百年の孤独
(Cien años de soledad)
作品データ
著者:ガブリエル・ガルシア=マルケス
ジャンル:魔術的リアリズム/多世代ファミリーサーガ
町ごと運命に巻き込まれていく一族の、めちゃ長い家族史の話
舞台は、ホセ・アルカディオ・ブエンディアが建設した架空の町マコンド。ここでブエンディア家は何世代にもわたって栄えたり崩れたりしながら、戦争、繁栄、虐殺、忘却、そして一族の終わりまで突っ走っていく。町の出来事がそのまま家族の体質みたいに染み込んでいって、気づくと「最初から決まってたみたいな流れ」に飲み込まれていく感じが強い。
ざっくり時系列
ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラが故郷を去る
↓
川辺で「マコンド」の夢を見る
↓
マコンド建設、町はしばらく孤立
↓
毎年ジプシー一団が来て磁石や望遠鏡や氷を見せる(メルキアデス登場)
↓
ホセ・アルカディオ・ブエンディアが探究にのめり込み、狂気へ
↓
町が外の世界と衝突、保守党と自由党の争い
↓
アウレリャーノ・ブエンディアが内戦に参加し象徴的な指導者に
↓
和平、帰郷し金魚を作り続ける
↓
鉄道が敷かれ外国人や新技術が流入
↓
アメリカの果物会社がバナナ農園を作り繁栄
↓
ストライキ労働者が軍に虐殺され、町は否定と沈黙へ
↓
長雨と衰退でマコンドは荒れていく
↓
最後はアマランタ・ウルスラと甥アウレリャーノの二人に近づく
↓
二人の子は豚の尻尾を持って生まれ、蟻に食い尽くされる
↓
アウレリャーノが羊皮紙を解読し、町ごと消滅へ
物語の主要人物
・ホセ・アルカディオ・ブエンディア
マコンド建設者。メルキアデスらの示す神秘に没頭し、家族から遠ざかる。
・ウルスラ・イグアラン
ブエンディア家の家長。長命で一族を支え続け、近親相姦の恐れを抱えている。
・メルキアデス
年に一度マコンドに来るジプシー一団の中心人物。羊皮紙を残す。
・アウレリャーノ・ブエンディア大佐
内戦に加わり象徴的存在となる。和平後は工房で金魚を作り続ける。
・ホセ・アルカディオ・セグンド
バナナ農園の虐殺から唯一生還し、羊皮紙の研究にも関わる。
・アマランタ・ウルスラ
終盤に戻ってくる一族の女性。最後の出産で命を落とす。
・アウレリャーノ・バビロニア
終盤の中心人物。羊皮紙を解読し、一族の結末に立ち会う。
逃亡から始まる、鏡みたいな町マコンドの誕生
ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラは、闘鶏の後にプルデンシオ・アギラールを殺したことをきっかけに故郷を離れる。旅の途中、川辺でキャンプしていた夜にホセ・アルカディオは「マコンド」という鏡の街の夢を見て、そこで町を建てると決める。こうして生まれたマコンドは、しばらく外界から切り離されたまま、年に一度訪れるジプシーたちの“新しいもの”だけが世界への窓になる。
内戦と繁栄が押し寄せて、町の運命がねじれていく
孤立していた町にも政治の波が来て、保守党と自由党の争いに巻き込まれる。アウレリャーノ・ブエンディアは内戦に参加し、暗殺未遂をくぐり抜けながら象徴的な指導者になるが、やがて戦争に疲れ、和平を結んで戻ってくる。
その後、鉄道が敷かれ、外国人と技術が流れ込み、アメリカの果物会社がバナナ農園を設立して繁栄が始まる。けれどストライキ中の労働者が軍に虐殺され、しかも町の人々はそれを否定したり信じようとしなかったりする。このあたりから、出来事そのものだけじゃなく「なかったことになる力」が町に居座っていく。
最後の解読と、家族と町が同時に終わる瞬間
終盤、マコンドは衰え、ブエンディア家はアマランタ・ウルスラと甥のアウレリャーノだけに近づく。二人は互いの関係を知らないまま近親相姦となり、豚の尻尾を持つ子が生まれるが、母は出産で亡くなり、子は蟻に食い尽くされる。
一人残ったアウレリャーノは、メルキアデスが残した羊皮紙をついに解読する。そこには一族のあらゆる出来事が書かれていて、読み終える瞬間、暴風が吹き荒れ、マコンドの町全体が消滅していく。
この小説のポイント
・架空の町マコンドの興亡を、ブエンディア家の多世代の物語として一気につなぐ
・戦争や企業の進出、虐殺の隠蔽など、町の歴史が家族の運命と絡み合って進む
・メルキアデスの羊皮紙という“記録”が、最後に全部を回収する仕掛けになっている
・不思議な出来事が日常の延長として起こり、現実の出来事と同じ重さで積み重なる
たぶんこんな小説
ひとことで言うと、町と家族の歴史がぐるぐる回りながら、現実っぽいのに現実だけじゃない出来事も普通に混ざって進んでいく感じ。明るい繁栄も、戦争の疲れも、語られない悲劇も、全部が同じテンションで積み上がって、最後に「そういう形で閉じるのか」って感覚が残るタイプ。

コメント