※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未読の方はご注意ください。
重力が衰えるとき
著者:ジョージ・アレック・エフィンジャー
近未来アラブ都市で探偵が厄介な依頼に巻き込まれる話
犯罪都市ブーダイーンで私立探偵をやっているマリードが、行方不明者探しを引き受けた直後、依頼人を目の前で失う。さらに身近な失踪事件や街の権力者、正体不明の改造人間まで絡み、薬と皮肉を手放せない日常が一気にきな臭くなっていく。
ざっくり時系列
ブーダイーンでマリードが探偵稼業を続けている
↓
ロシア人の男から息子の捜索を依頼される
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依頼人が目の前で殺される
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なじみの性転換娼婦が失踪する
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街で不穏な事件が連鎖的に起こる
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街の顔役と正体不明の敵が立ちはだかる
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マリードが事件の核心へ踏み込んでいく
物語の主要人物
・マリード
アラブの犯罪都市ブーダイーンで探偵仕事をする男
・ロシア人の依頼人
行方不明の息子を探してマリードに依頼する人物
・性転換娼婦
マリードのなじみで、失踪をきっかけに事態が動く
犯罪都市ブーダイーンという舞台
舞台は近未来のイスラム世界にあるブーダイーン。治安は悪く、権力と犯罪が表裏一体で回っている街だ。探偵として生きるマリードにとっては日常の延長みたいな場所だけど、街そのものが常に不穏で、どこに首を突っ込んでも厄介ごとが待っている。
依頼は即座に破綻し、状況は悪化する
息子探しの依頼は、依頼人の死によって一気に意味を変える。さらに、なじみの性転換娼婦の失踪が重なり、事件は個人的な問題から街全体を巻き込む話へと膨らんでいく。街の顔役からの圧力も加わり、マリードは逃げるより突っ込むしかなくなる。
改造された敵と、逃げ場のない追走
事件の背後には、脳を改造された正体不明の存在が見え隠れする。誰が味方で誰が敵か分からない中、マリードはクスリに頼りながら街を走り回る。ハードボイルドな調査の先で、ブーダイーンという都市そのものの歪みが浮かび上がってくる。
この小説のポイント
近未来イスラム世界という独特な舞台設定
サイバーパンク要素と探偵物語の組み合わせ
街の空気がそのまま物語の緊張感になっている
主人公の皮肉と諦観が全編に漂っている
たぶんこんな小説
乾いた会話と荒れた街並みが続いて、ずっと夜の路地を歩いている感覚がある。派手なヒーロー話じゃなく、疲れた探偵がしぶしぶ真実に近づいていく流れ。テクノロジーが進んでも、人間のややこしさは変わらないんだな、と思わせる空気が残る。

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